
「毒」と聞いて、あなたはどんな印象を持ちますか?
多くの人は、毒といえば「自分にとって危険な物」と考え、薬と聞けば「自分を助けてくれるもの」と考えるのが普通かもしれません。
今回ご紹介するのはその2つについての化学の本、『毒と薬【すべての毒は「薬」になる?!】』(http://www.shin-sei.co.jp/np/isbn/978-4-405-10805-9/)です。著者は薬学博士の鈴木勉氏。
第1章の冒頭にこのような記述があります。
―ある物質が生物に与える作用が、好ましい場合、薬と呼ばれ、好ましくない場合に、毒と呼ばれる。同じ物質でも、用法や容量によって毒にも薬になり得る。―
―実際には毒と薬は表裏一体で、使い方によってはどちらにもなり得る。―
つまり、薬も毒も同じ!なんですね。
日頃から薬の副作用に関心があり、薬を飲まない人は毒に縁遠いかというとそうではありません。身の回りにある毒として以下のものが紹介されています。
【身の回りにある毒】
・コーヒー、酒、タバコ、フグ、毒キノコ、サソリ、洗剤、ヒ素、麻薬、トリカブト、排気ガス など
いかがでしょうか?トリカブトや毒キノコは街中でそうそう出会うものではありませんが、洗剤や排気ガスなど日常生活で意識しないで存在しているものもあります。私たちの身の回りにはなんと毒が多いのかと驚きませんか?
水や、塩、砂糖など日頃から口にしているものでさえ、過剰になれば死に至ります。(これは、かなり急激に“過剰”な状態になった場合です。)
本書では、こういった毒がどういう経路で体内に入り、どのように作用するのかがわかりやすく書いてあります。そして、この毒から人間は薬を作り出してきたというのですから、なんともたくましいですね。
第3章では薬について。薬が良いとか悪いという議論ではなく、化学的にどういうものか?という観点での記述なので、どの病気に、どの薬が、どのような効果を発揮するのかを理解するのに役立ちます。
コラムでは「市販の薬との危険な食べ合わせ」として、まさに薬と毒が表裏一体であることをまとめた表が載っています。
例えば、
・ニンニクとイブプロフェン配合の薬を一緒にとると胃が荒れて痛みがでる
・マグロ、ブリ、サンマなどの魚と葛根湯は体内のヒスタミン量が増加して中毒症状がでる
など、うっかりすると薬が効きすぎる、または中毒症状が出てしまうこともあるようなのでご注意を!
「毒」と聞くと特殊なものと思いがちですが、実は私たちの身の回りにたくさんあることが分かる本書。知っておくと、いざという時に対処しやすいのではないでしょうか。
▼おすすめポイント▲図や写真が豊富で読みやすい!また、昨今の芸能ニュースでよく話題になる「麻薬」について、「自然界の毒」、毒が兵器として使われた「地下鉄サリン事件」や2つの毒を使った事件「トリカブト保険金殺人事件」など、化学に興味がなくても読みやすい項目もたくさんありますよ。
『毒と薬【すべての毒は「薬」になる?!】』 鈴木 勉/新星出版社
はじめに
プロローグ1 世にも危険な有毒生物
プロローグ2 世にも危険な毒図鑑
第1章 毒の基本
第2章 毒と体
第3章 薬の基本
第4章 人間を虜にする麻薬
第5章 自然界の毒
第6章 毒と社会
第7章 毒・薬を求めて
第8章 毒と薬の事件ファイル
http://www.shin-sei.co.jp/np/isbn/978-4-405-10805-9/
服部友紀子 (水:蠍座)
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